水底に映る自分の影を久しぶりに見た日
もうこれ以上我慢できない!だから泳ぎに行ってきた。1ヶ
月振りのいつものプールは、心なしか水も少し温んで、怪我
の回復を待ちながらじっとしている間にも、季節が確実に先
へと進んでいるのが分かった。
白いタイルの水底に、濃いブルーのタイルが一列、水中でま
っすぐに泳ぐことができるように、目印として並んでいる。
人、一人分の幅の、そのブルーのタイルに、泳いでいる自分
の影が映る。その影が、入水のときの手の角度や、脚を蹴る
ときの身体全体のポジションが、どういう具合かを教えてく
れる。右手をもっと伸ばして、とか、何だか左半身が沈みが
ちになる、など、自分の影を観察することで、何が正しいの
か、何が違っているのかが、よく分かる。
スピードを求めない、ゆっくりした泳ぎでも、15分、30
分と、泳ぎ続けていると、心肺数も上がり、身体も温まって
くる。それに伴って、ゴーグルの中が蒸気で曇るようになる。
そうなると、とたんに、視界は悪くなり、まるで濁った水の
中を泳いでいるような、そんな景色になる。
水の底に映っている自分の影も、薄くかかったもやの中にぼ
んやりとしか見えなくなると、水の中での自分に自信が持て
なくなる。今自分がどんな姿で泳いでいるのか、と、不安に
思う気持ちが、身体を固くし、息を苦しくするのだ。
プールの向こう岸へ渡り着いたときに、ゴーグルを外して、
レンズの内側の蒸気の曇りを拭いたくなるように、人生、時
折り、目の前の曇りを払いたくなることがある。自分の今あ
る姿が、自分には見えなくて、もどかしさと不安で、溺れそ
うになることがある。
ちょっとそんな気分。目の前の曇りを、払わせてください。

月振りのいつものプールは、心なしか水も少し温んで、怪我
の回復を待ちながらじっとしている間にも、季節が確実に先
へと進んでいるのが分かった。
白いタイルの水底に、濃いブルーのタイルが一列、水中でま
っすぐに泳ぐことができるように、目印として並んでいる。
人、一人分の幅の、そのブルーのタイルに、泳いでいる自分
の影が映る。その影が、入水のときの手の角度や、脚を蹴る
ときの身体全体のポジションが、どういう具合かを教えてく
れる。右手をもっと伸ばして、とか、何だか左半身が沈みが
ちになる、など、自分の影を観察することで、何が正しいの
か、何が違っているのかが、よく分かる。
スピードを求めない、ゆっくりした泳ぎでも、15分、30
分と、泳ぎ続けていると、心肺数も上がり、身体も温まって
くる。それに伴って、ゴーグルの中が蒸気で曇るようになる。
そうなると、とたんに、視界は悪くなり、まるで濁った水の
中を泳いでいるような、そんな景色になる。
水の底に映っている自分の影も、薄くかかったもやの中にぼ
んやりとしか見えなくなると、水の中での自分に自信が持て
なくなる。今自分がどんな姿で泳いでいるのか、と、不安に
思う気持ちが、身体を固くし、息を苦しくするのだ。
プールの向こう岸へ渡り着いたときに、ゴーグルを外して、
レンズの内側の蒸気の曇りを拭いたくなるように、人生、時
折り、目の前の曇りを払いたくなることがある。自分の今あ
る姿が、自分には見えなくて、もどかしさと不安で、溺れそ
うになることがある。
ちょっとそんな気分。目の前の曇りを、払わせてください。





